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新型コロナ感染症による在留資格への影響の深刻化

  • 執筆者の写真: 行政書士 水谷秀則
    行政書士 水谷秀則
  • 2022年1月21日
  • 読了時間: 4分

代表特定行政書士の水谷です。


本日コロナ感染症の感染者の数が4.9万人を超えて過去最多を更新しました。

コロナの影響が長引き外資企業の日本からの撤退や多くの企業が雇い止めや整理解雇を行い退職を余儀なくされる外国人の方も多くなっています。

本邦において労働されている外国人の方の在留資格の多くは、技能実習生もしくは特定技能を除いては「技術・人文知識・国際業務」かと思われます。いわゆる就労ビザと呼ばれる代表のような在留資格で留学生の方で卒業後就職される方はぼぼこちらの在留資格に変更されます。

この在留資格ですが、転職されたとしても、そのまま在留でき働けるため外国人の方はご存知でない方も多いのですが、この在留資格は所属企業を入管は把握しており、転職される際には所属機関変更の届出をしなければなりません。また外国人を雇用している企業はハローワークに外国人雇用の状況を届出しなければなりませんし、入管からは雇いれた外国人を入管に届出するように企業に要請されています。

そして、入管法第22条の4には、本邦に在留する外国人が,偽りその他不正の手段により上陸許可の証印等を受けた場合や,在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合などに,法務大臣は、当該外国人の在留資格を取り消すことができる定めており、第6項には、 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)をもつて在留する者にあつては、六月)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

とあります。

つまり、就労ビザで日本で働いていた外国人の方が退職して特に何もしていない期間が三か月以上となった場合、入管がその状況を把握していれば在留資格を取り消しになる可能性が入管法上あるということです。実際は転職活動をしていれば正当な事由があるとされ、直ちには取り消しの対象とならないのが実務上の運用のようです。

さて、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、転職に制限はないのですが、就労ビザの中には外国企業の子会社で働くために本社から派遣されて働く為の在留資格もあります。企業内転勤と呼ばれる在留資格ですが、こちらは入管法上の活動は、本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が,本邦にある事業所に期間を定めて転勤して,当該事業所において行う理学,工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動(在留資格「技術」に相当)若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事する活動 とされているので、働ける会社が限定されています。この方が解雇もしくは自主退職された場合、帰国するのが原則となっています。

この在留資格では転職して働くことが入管法上認められていない為です。

現在コロナ感染症の影響により、外国企業の日本法人で働いている方が解雇されたり退職を余儀なくされ日本に残るにはどうしたら良いか相談されるケースがありました。

入管では、現在留学生や技能実習生、特定技能の方が帰国困難のため日本に残ることができる特定活動への在留資格変更の案内はされていますが、企業内転勤などの在留資格のケースは明確に記載されておらず帰国しなければならないとご自分で判断され若しくは問題ないと思って、何の手続きもしない方がおられますが、前半で述べたように入管が把握している場合、在留資格が取り消しとなり強制退去になる可能性があります。

入管の案内では明記されていませんが、帰国困難である正当な理由を立証すれば企業内転勤も特定活動に変更許可をうけることができ、特定活動の在留資格は就職活動することは認められていますので、入管法上の要件を満たせば「技術・人文知識・国際業務」に変更することができます。

お近くにこのような状況の外国人の方がおられる場合、入管もしくは申請取次の届出をしている行政書士、弁護士に相談するようにご助言されるようにお願いします。

入管法遵守をされずに滞在できたとしても、その次の在留資格の更新や変更時に不許可と判断される事由となりえますので、結果的に不幸な結末となりかねません。

早くコロナ感染症が終わり国際人流が回復することを祈ります。

https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001358034.pdf


 
 
 

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